清原絵画研究所とは

清原絵画研究所のあゆみ

清原絵画研究所の前進である清原絵画教室は、平成14年(2002年)に発足しました。

 

 最初は家庭教師でした。最初の日に「対象物をよく見て、ゆっくり一筆描きのように描いてみてください」と助言したところ、素晴らしいドローイング(線描、素描)を描かれました。私は手応えを感じ、チラシを撒いて自宅で教室を始めました。一人、二人とお見えになりました。募集をかけ、それに応えて人が来るという経験は初めてで、実に嬉しいことでした。そしてその多くは初心者で、私は「描けない」とおっしゃる人たちに「対象物をよく見て、ゆっくり一筆描きのように描いてみてください」を推し進めました。出来栄えはやはり驚くべきものでした。このときの「描けない」人を「描ける」人に引き上げることができた喜びは、私に強い希望をもらしました。それは恩寵のようでした。恩赦と言ってもいい。「誰かの役に立つことができる」「自分のスキルを活かす場がある」という実感がどれほどうれしいものであったか無名の絵描き(実際は絵描きというアイデンティティすらなく、自覚は一介のフリーターです)には、いったい自分の所業が誰かを喜ばせることなどあるのだろうか、という苦悶があります。「趣味道楽で、好き勝手な生活をして」という声がする。追いかけてくる。それを救ってくれたのが、生徒さんだったのです。この体験が私の原動力になり、清原絵画教室は始まりました。

  

 それから少しずつ生徒さんは増えてゆき、数年後には80名近くが在籍する規模になりました。教室はくつろぎの場として、サービス業として拡張しました。6つの教室の中から時間と場所を選べるシステム、2時間2000円のキャッシュオンデリバリー方式(のちにチケット制に移行)といった便利さを前に出し、もてなしを重視しました。私は18歳から神戸オリエンタルホテルを出発点に、東京、小豆島リゾートなど、色々な土地のホテルやレストランの給仕係として10年以上働き、ミシュラン三ツ星のフランス料理店で、料理長の仕事を間近で見る日々もあったのですが、そうした経験から、絵画を料理に見立てた「絵画技術を供するくつろぎ空間」をやってみようと思い、それを続けたのです。それはある程度成功したと思います。

 

 しかし最初の原動力となった技術の歓喜は、接客サービスの中に埋もれて影をひそめていきました。振り返ればコア・コンセプト(核となる考え方)の確立がなされておらず、向上への道筋から離れ、サービス事業の色合いを濃くしていったと言えます。芸術の探求と廉価なサービス業を融合させるのは容易ではありませんでした。私は「サービス業を前に出す限り、向上に導くには限界がある」と考えるに至りました。美術をサービスや福祉に活用する意義はあるのですが、それらは探究や向上とは目指すベクトル(方向性)が違う。これは考え直そうと思いました。向上の喜びが枯渇していることは、もはや無視できない影となっていたのです。そして平成29年4月、初めて教室の目的と方針を掲げたのでした。

 

目的

清原絵画教室の目的を、すぐれた美術家の育成とします

指導方針

1.   美術家として遇します

2.  実践を重視します

3.  対話による意思疎通を尊重します

4.意識(考え方)、感性(感じ方)、技術(やり方)の向上を目指します 

5.純粋美術に重きを置き、応用美術と娯楽は二義的と考えます

6.絵画を主たるメディア(表現媒体)とします

7.相互扶助の精神と仲間意識を大切にします

 

 美術家とはアーティストのことですが、ここでは職業ではなく生き方を表しています。この教室にたどり着いたらあなたはもうアーティストですよ、階段を昇って「すぐれた」アーティストになりましょう、私はそれを助けます、と申し上げたいのです。

 

 教室はくつろぎの場から学びの場に変わりました。技術のラインナップを増やし、美術の現場や歴史、言説を紹介し、意識啓発に注力し、美術家を「すぐれた」美術家に育てる場にしました。チケット制を月謝制にし、会員制にしました。そしてその結果、かえって以前よりも和気あいあいとした雰囲気が強くなったのです。生徒と講師が、志と問題意識を共有する仲間になったからだと思います。

今は時々、この指導という仕事は画家の仕事より価値があるかも?と思います。美しいものを生み出す「人」を生むのですから。

 

 私にとって清原絵画教室は、船のようなものです。冒険の海へ乗り出す船です。かつては遊覧船でしたが、私はそれを探検船に改造しました。そして船は舵を切り、理想郷の探索を始めました。この船は練習生(生徒)を募集しています。遊覧船のような快適さはないかもしれませんが、ここには浪漫があります。習得できる技術は高く、航路は刺激的なものです。そしてこの船の経験が、独り立ちに役立つようなものであってほしいと願っています。練習生を一人前の海の男(女)にする、そんな経験です。

 

平成29年(2017年)629日(木)に記した主宰あいさつより一部修正して記載


 

 

平成14年 清原絵画教室発足

平成15年 第1回アートピクニック(写生会)開催 神戸市ドンキーバレー 

以後、須磨山上遊園、六甲牧場、森林植物園、湊川神社、明石公園、太山寺、須磨離宮公園、しあわせの村、メリケンパーク、北野異人館街、有馬温泉、オテル・ド・摩耶、兵庫県立美術館、須磨寺、奈良公園、神戸ブランチ、ハーバーランド煉瓦倉庫、弓削牧場、みのたにグリーンスポーツホテル、   布引ハーブ園、神戸旧居留地等、随所で開催

平成16年 グループ風花/蝸牛作戦のはじまり展(事実上の第1回清原絵画教室生徒作品展)

平成17年 清原絵画教室生徒作品展(事実上の第2回展)以後毎年開催

平成18年 第3回清原絵画教室生徒作品展

平成19年 第4回清原絵画教室生徒作品展 

平成19年 第1回秋合宿(絵画旅行)開催 岡山県邑久・牛窓

平成19年 教室ウェブサイトとブログ開設

平成20年 第5回清原絵画教室生徒作品展 

平成20年 探偵ナイトスクープに講師と生徒が絵画助っ人として出演

平成20年 酒井臣吾著『一から始める大人のための「絵」のレッスン』(PHP研究所発行)に実践協力

平成20年 第2回秋合宿 岡山県日生

平成20年 「部分積み上げ方式」展

平成21年 第6回清原絵画教室生徒作品展           

平成21年 宝塚歌劇タカラジェンヌ凰稀かなめを迎えての即席講座/ケーブルテレビ収録・放映

平成21年 第3回秋合宿 長野県松川町・中川村・大鹿村

平成22年 第7回清原絵画教室生徒作品展 

平成22年 第4回秋合宿 神戸市しあわせの村

平成23年 第8回清原絵画教室生徒作品展 

平成23年 第5回秋合宿 兵庫県赤穂市

平成24年 第9回清原絵画教室生徒作品展 

平成24年 第6回秋合宿 神戸市しあわせの村

平成25年 第10回清原絵画教室生徒作品展 

平成25年 第7回秋合宿 神戸市しあわせの村

平成26年 第11回清原絵画教室展(清原絵画教室生徒作品展から改称) 

平成26年 第8回秋合宿 神戸市しあわせの村

平成27年 第12回清原絵画教室展

平成27年 第9回秋合宿 神戸市しあわせの村

平成28年 第13回清原絵画教室展

平成28年 第10回秋合宿 奈良県明日香村

平成28年 「名所を歩く関西スケッチさんぽ」(京阪神エルマガジン社)発行 風景スケッチの基本指導を担当するとともに、写生画と助言を提供

平成29年 第14回清原絵画教室展

平成29年 会則を策定し、理念・目的・指導方針・運営システムを明確にする

平成29年 第11回秋合宿 =長野県松川町主催による「アートピクニック(写生会)」参加

平成30年 第15回清原絵画教室展

平成30年 第21回アートピクニック@榎忠工房 神戸市西区

平成30年 専攻科開設

令和5年   清原絵画教室解散

令和5年   清原絵画研究所発足

 

清原絵画教室展 過去の全出品作品